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◎ 紀州漆器の歴史
歴史的には、室町〜戦国時代に近江系木地師の集団が、この地に住み着いて豊富な紀州桧を木地に木椀の製造を始めました。ついで椀木地に渋下地を施すきゅう漆の技法が加わって渋地椀の製作に発展しました。 これに加えて、現在の那賀郡岩出町にある根来寺で、僧侶達が寺用の膳・椀・盆・厨子などの什器を自ら作ったのも紀州漆器の起源の一つといえるものです。 根来寺に始まったこれら一連の塗物が、即ち「根来塗」といわれるものです。
江戸時代になって庶民の日用品としての需要が高まるにつれ一層漆工も盛んになり、ついには渋地椀の一大産地として、全国にその名が知られるようになりました。 紀州漆器はこのような四百年以上に亘る長い年月によって錬成された伝統的漆工芸であります。
紀州漆器(黒江塗)は、和歌山県海南市の北西部「黒江地区」を中心に生産されており、会津塗(福島県)山中塗・輪島塗(石川県)などと共に全国産大産地の一つです。
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※きゅう漆:漆を塗る技術の総称 渋地椀(しぶじわん):柿渋に木炭の粉を混ぜたものを塗って下地とした椀
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◎ 紀州漆器の特徴
江戸時代から、庶民の日用品として大衆に親しまれてきた紀州漆器は、安価な商品を大量に生産することが必要でした。 そこで、製造の工程と技法に様々な工夫がこらされました。良材にこだわらず、工程も簡略化しながら、一定の品質を保ちつづけるために考え出された技法が、現在にもつづく紀州漆器の特色といえます。
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◎ 伝統的工芸品としての紀州漆器
紀州漆器の伝統と技術・技法が認められ、昭和五三年二月六日に「伝統的工芸品」の指定を受けました。
■経済産業大臣指定伝統的工芸品 @主として日常の生活に使われるもの A主要工程が手作りであること B100年以上前から続いている技術・技法で作られたもの C100年以上前から使われている原材料で作られるもの D産地が一定の規模を形成していること
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お 知 ら せ
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海南市黒江では、毎年11月第2土曜日・日曜日の10時〜午後4時に【 紀州漆器まつり 】が開催されます。 たのしいイベント盛りだくさん。大漆器市では約50店舗が集まる紀州漆器の即売会。 掘り出しもの多数あります。
昨年、平成17年11月に行われました「第17回紀州漆器まつ祭り」の開催模様は、こちらをご覧ください。
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※その他、『輪島漆器』、『会津漆器』、『琉球漆器』、『木曽漆器』、『山中漆器』、『川連漆器」、『越前漆器』、『高岡漆器』などが有名です。
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