こちらでは、漆器に関する『素材』、『塗』、『加飾』についての解説および、『素材』、『塗』と商品価格との関係を解説しています。
素 材
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木 製 |
天然木及び合板を使用し、成形したものです。 木製品は、素材としても適度な“硬さ、柔らかさ”を併せ持つため加工がしやすく、しかも割れたりしにくいという特徴もあります。また断熱性にも優れており、汁椀などにもよく利用されています。 木を加工して作ります。加工方法は挽物(ひきもの)、板物(板もの)、刳物(くりもの)、曲げ物(まげもの)の4種類あります。
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木質複合樹脂 |
「もっかん」とも呼ばれます。木粉と樹脂を混ぜて型で固めた物です。 素地代が安価になり、木の感触もあります。
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ABS樹脂
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一般的にプラスチック樹脂と呼ばれるものです。薬品などに対しての化学的な強度と、耐衝撃性といった物理的な強度に優れ、二次加工性にも適したバランスのよいプラスチックで、リサイクルに対する対応性も優れています。
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ユリア樹脂 |
硬質で比重が重い樹脂です。 (熱による変形には強い反面、衝撃による割れ・欠け・ヒビ等が生じやすい) |
フェノール樹脂
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電気絶縁性、耐酸性、耐熱性、耐水性に優れています。
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(※)木材の加工方法 挽物(ひきもの)・・・
ケヤキ、栃、松などの木のブロックをロクロに取り付けて回転させて、ロクロカンナで削り取り、形を作る。 (椀、皿、盆、なつめ・・) 板物(いたもの)・・・桧、杉、松、桐、ケヤキ、合板などの木と、木、板と板を組み手や接着材で結合させて形を作る。 (棚、重箱、四方盆・・・) 曲物(まげもの)・・・桧、杉などの薄い板を湯につけて曲げる湯曲げとと、特殊な鋸で溝を付けて曲げる挽き曲げがある。 (茶櫃、盆、会席膳・・・) くり物・・・朴、桂などの木材から不要な部分を刃物で削り去って形を作る。 (白、杓子、木皿・・・・)
塗 り
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漆 塗
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漆の木から採取した樹液を精製したものを原料とし、器の表面にはけを使い、全て手作業で塗ったものです。
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カシュー塗装 |
見た目は漆と非常に似ており見分けが難しい化学塗料です。漆より安価く出来、漆ではありませんのでかぶれる心配はありません。 ウレタンと同じく「代用漆」と呼ばれる事もあります。カシュ塗りの特徴としては、塗料の安定供給、安価、乾燥が大気条件にそれほど左右されないなどが挙げられる。漆の欠点を補う魅力があるそうで、高岡ではカシュ塗料は漆の伝統技法そのものの中に組み入れられています。
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ウレタン塗装 |
漆の代わりに人口塗料”ウレタン”を木地に塗る方法、まったく無害で安価なすぐれた塗料でもあります。光沢、密着力に優れており、耐候性、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性にも優れています。 |
溜 塗 |
漆塗の一種。下地に朱や弁柄(鉄丹)の漆を塗り、その上に透漆を塗って仕上げたものです。 半透明の美しさがあります。
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黒 塗
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黒漆を塗ります。漆の種類により、ツヤのある呂色に近い光沢がある仕上がりや、ツヤ消しは落ち着いた色合いの仕上がりになります。
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朱 塗 |
朱の顔料を混ぜた漆を塗ります。色は真っ赤になります。 |
木地呂塗
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木目を生かすために、下塗・中塗・上塗3回とも透漆を塗り、最後に磨き仕上げをして天然木目が透けて見えるようにします。木地呂塗と同じ様な塗り方で春慶塗りもあります。 木目が見える塗り方なので、素地には欅、栃、檜などが多く使われます。
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漆が塗り終わった漆器に、紋様などをつける『加飾』には、『蒔絵』、『螺鈿』、『沈金』、『シルクスクリーン』などをはじめとしていろいろな技法があります。
加 飾
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蒔 絵 (まきえ)
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蒔絵筆という細長い穂先の筆に漆液を含ませて絵を描き、漆が乾かないうちに金、銀、錫や色漆を乾燥させた粉を蒔いて、紋様をあらわす技法です。 |
螺 鈿 (らでん) |
漆器の面に貝殻を散りばめて装飾したものをいいます。 古くは中国から渡来してきた技法です。 |
沈 金 (ちんきん) |
沈金のみという道具で模様を線彫りして、生漆を摺りこみ、その漆のうえに金箔を付着する技法です。比較的、堅牢な加飾で、一般の実用品にも広く行われています |
シルクスクリーン |
プラスチック素地とスプレーによる吹付け塗装です。 大量生産が行われるようになって、従来の手書き蒔絵にかわる「シルクスクリーン」技法が登場しました |
漆器の素材・塗りと価格について
※上記は一般的な例を相対的に比較しております。
上記素材や、塗装方法以外にも、工程で「手作業」か「機械作業(オートメーション)」等によっても価格は変動します。 一般的には、「手作業」のものが高価で高級である場合が多いです。
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